家づくりは一回では成功しない(第169回)--BMとGL [我が家]
今回は建てる前の土地の地盤がどうあるべきかを考えたい。
家をつくるには当然土地の上に建てるわけで、その土地が「道路及び隣地」からどのぐらいの高低差があるかは頭にたたき込んでおかなければいけない。家をつくる場合、往々にして家の「間取り」に頭が行きがちだが、昨今の異常気象を鑑みると第一優先に考慮すべき項目の一つ。せっかくの新築が水浸しになっては間取りもヘッタクレもないことはご理解いただけると思う。これは設計時の問題だから、施工業者の管轄と思いがちだし、それは半分以上当たっている。
つまり、更地の段階で、BM(マンホールの蓋)があそこで、そこから30センチ土を入れると、家は基礎を含めて60センチになり、30×500×500立法㎝の土を入れる予定です、なんていう説明をしてくれるところはほとんどない。しかし、家を建ててから低かった、高かったと騒いでも、もうどうすることもできないことは誰の目に明らか。甘んじて泣きを見るのは、顧客である我々だということを忘れてはいけない。大金を叩いて建てる貴重な経験。慎重の上にも慎重に期して間違いはない。
それを防ぐには、やはり、土地の高さ(地盤面の善し悪し)を十分に把握しておかなければいけない。
でも、図面を見ても何も分からないぜ、と思う方は多いけど、よくよく見ていると、いろいろなことが書いてあることが分かってくる。これは建て売りであろうと、オーダーでの家であろうと変わりはない。建て売りの場合は、その家の平面図を不動産屋に見せてもらえばいいわけで、その図面のコピーをいただき、しっかり家で解析することをお勧めしたい。もちろん、現地での実査も必要なことは言うまでもない。
【BMとは】
現状の敷地に対して基準となる高さ。このBMを基準(BM±0)に周囲の高低差を表し、高いところは「+」、低いところは「-」で表す。
家の設計図--特に敷地全体を現しているものの周りには、数字がいろいろ書いてある。よくよく見るとGLとかBMという表示があるはず。
これは拙宅の図面。
赤枠で囲ってあるが、BL=GL-260とあったり、その下には「-110」とか「-100」とある。
通常、BMは絶対に動かないものを基準にしており、例えば道路のマンホールの蓋とか、境界杭など。そして、BMを基準として設計GLを設定していく。
【設計GL】とは。
GLとはグランドラインと言い、その敷地に対して建物を建て完成した際の地盤面の庭の高さを指す。実際にある敷地の(家を建てる前の地盤面)は「現況地盤」と言い、
BMから「現況地盤」がマイナスの値であれば、現況地盤は低いレベルにある。
設計GL=BM+200。
この地盤で、設計GLをBMより高い位置に設定すると「現況地盤」と設計GLの間は盛土をして造成する、ということ。
この「高さ設定」を間違えると道路や隣地の雨水が敷地内に入ってくることになり、当然、建物完成後の外構工事にも大いに影響が出てきてしまう。玄関のアプローチ計画やスロープの計画など、この段階になって初めて分かる場合もある。(施工会社はプロですから、その前段階で気がついているはず。)
しかし、間違えましたとお客様には言えないから絶対に言わない。注文建築のときは、外溝も当然注文だから、別業者が大体施工をすることになるが、そのときアプローチの角度がとれないとか、玄関の階段が2段あるところが、1段、庭の高さと同じになるため、1段は丸々土の中に隠れるなんていう失態が明らかになる。