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3歳の息子が35歳になった今でもはっきり覚えていること [生活]

2017.6.12


 最近、このブログはクレームブログになってしまった。自分の不満のはけ口になっているので、今回は少し楽しい話題を書くことにしたい。


 かなり前の話になる。多分、40年ぐらい前のこと。我が家は都心からは36キロぐらい離れているものの、都心までは1時間以内の距離。そんな山奥ではないが、当時はまだまだ緑も多く、都心へのベッドタウンとして少しずつ人口も増え、栄えてきつつある郊外都市であった。


ある夜のこと。時間は20時ぐらいか。私は仕事から帰り、家の駐車場に車を入れ、庭を横切って玄関に向かっていたときのこと。その日は月夜であり、雲一つなく、月明かりが光々と輝いており、地面にもはっきりと月明かりが当たっていた。


当然のごとく、暗い地面には生け垣の椿の影が重なり、二階の屋根ぐらいの高さに成長した桜の木の影が写り、ドウダンツヅジの影も移っていた。足元が暗いため、毎日歩いている庭とは言え、下を凝視しつつ歩いていたときのこと。黒い固まりが目に止まった。いつもの木の影だろう?--------いや、地面から離れている-----浮いている?-------黒い固まりの回りは月の光が光々と照らされていたのだ。もう少し分かりやすく言うと、地面に月の光が満遍なく当たり、その中心に丸く大きな黒い固まりが 浮いた状態で写っていた。


「えっ」と私は声を飲んだ。


大きなフクロウが電線にとまって、こちらを見ていたのだった。しかし、その表情は月光の光の逆光で見えるわけもなく、ただただ、びっくりするだけであった。


なぜフクロウだと思ったのか? 私の稚拙な考えでは、「鳥」は鳥目だろうから、ほかの鳥は夜は活動できない。できるのは、フクロウだけ という単純そのもの。 


私は急ぎ、長男を起こしに家の中へ。長男はまだ3歳になったばかり、彼を小わきに抱え、急いで外に出た。しかし、そこにはフクロウはいなかった。急いで駐車場に走った。駐車場のフェンスを開け、道に出た時だった。


大きな羽音が私たちの耳元に聞こえた。それは聞いたこともないような大きな音とともに生ぬるい風が頬をたたいた。


と同時に、目の前をそのフクロウが横切り、左手にある竹藪の中に飛び込んでいった。私たちは小さな恐怖ととともに、一歩もそこから動くことはできなくなった。


その間、たった20秒もあっただろうか。そんな一瞬の出来事を、半分夢心地だった3歳の息子は35歳になった今でもはっきりと覚えており、先日も「すごかたったね、あのフクロウ。」と言っていた。


私一人だったら「幻じゃないの?寝ぼけているんじゃないよ」と一蹴されてしまいそうだったが、唯一、私が父親らしい思い出をつくれた一つであったというお話。


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