マイホームタウンである駅横には毎年すばらしい桜が咲いてくれる場所があった。

しかし、文化のない街は悲しい。10本のその桜は、なんということかすべて伐採されてしまった。

これはJRの敷地の中、JR の判断なのだろうが、何とも無粋だ。

わが街には全く何もない。みんなが少なからず飛びつくであろうB級グルメもなければ、歴史的に有名な名所旧跡もない。もちろん、美術館もなければ、有名人の巣立った街でもない。駅には「駅ビル」というには恥ずかしいぐらいの建物があり、強いて誇れるところを挙げれば、「水がおいしい」、「地価が安い」、「病院の数」は5キロ圏内に大小を合わせると結構あるかもしれない。しかし、ヤブだ。

ここの金網に沿って10本の桜が並んでいた。

 でも一つだけ、いいことがあった。

それは、大木の脇から新芽が出ていた。

ひょっとした、またいつかその新芽が大木になるかもしれない。私が元気なうちに、また大木になって、きれいな桜が見れることを切に願っている。

文化も何もない、ささやかなわが街の楽しみだ。

だからこそ、少子化に向けた取り組みができる唯一の街、一つのモデルケースとしての役割が果たせる唯一の街ではないと思うことしきりだ。