2017.4.26


それは遠い昔。私がようやく22歳になり、大学を卒業、就職もせずに家にこもって資格試験の勉強をしていたころのお話。今で言えば、引きこもり? プータロウ? 寄生虫?と他人からヤユされそうな感じかもしれない。 


6月、露の真っ盛り、この日も朝露の中に家がすっぽりと包み込まれており、じっとりした、そんな感覚を覚えるほど、あたり一面は霧に包まれていた


当時、隣家との距離は半径50メートルは離れており、南側100メートル先に道路があり、その間には木々が茂り、北側50メートルに隣家、西側は雑木林、東側は100メートル手前は何もなく、しかし宅地に整備されているわけでもなく、ただ野原であり、その100メートル先には高い木々が立っているだけ。あとは東南方向に50メートルぐらい離れて1軒、東北方面に1軒あるだけ。


東京からは36キロとそんなに離れてはいないのだけれど、結構な自然の中にあった街であった。


朝、雨戸を開けた。ほとんど人工的な物音などしない静寂の中、私の雨戸の開ける音だけが響きわたっていた。いつものように、そっと耳を澄ませ、深呼吸をする。気持ちがいい、何より静かなのが一番いい

ふと耳にいつもの自然音以外の音が聞こえてきた。