家づくりは一回では成功しない(第296回)-引き戸と押し戸 [我が家]
2024.12.9
こんにちは。
大分寒くなってきた。予定どおり、家の外壁の掃除は終了し、あとは窓ガラス。去年は早くやり過ぎ、肝心要の年明けには結構な汚れが付いてしまったので、今年は寒いのを覚悟でギリギリまで待つことにした。
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最近、段々と「怒り」というものを忘れている自分に愕然とする。以前はそんなことはなく、絶えず何かに怒りを持っていたような気がする。例えば、政治家の不祥事とか、モーニングショーで紹介される事件、新聞の事件等々に、それなりの怒りをもって持論を展開していた。しかし、最近はネタ元の新聞も斜め読みをするようになったからなのか、どうも「怒り」を覚えなくなった。「そりゃ、年だからですよ」と一笑に伏されてしまいそうだけれど、確かに「当たらずも遠からず」で反論もできない。
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そんなことはともかくとして、今回は家の扉についてをお話ししたい。
そんなのどうでもいいじゃん。引くか押すかの違いだけでしょう。
・・・・・確かに、「押すor引く」に違いないけれど、家の広さが潤沢であれば何も問題はないけれど、例えば、16畳のLDK以外、個室は全て4畳半を基準にせざるを得ないご家庭だって多いはず。4畳半でなく6畳であってもベッドを置き、机を置きすれば、残りのスペースはそうそう広く残っているわけもない。
部屋には扉を付けるものと日本では相場は決まっているので、扉を付けないご家庭には関係のない話かもしれないが、大体付けるわけで、そうなると、引き違いのドアにするべきか、押し開きのドアにするかという選択を迫られる。施工業者にこれを言わないと、大体彼らの判断(図面でどちらが可能かを考えて決める)で決定されることが多い。別に悪気があってのことではないと思うが、比較的スルーする項目だ。
我が家の経験で申し上げすると「4畳半の部屋」+「押し開きのドア」のセットだったものだから、机とベッドの置く場所に結構な制限を受けることが多くなってしまった。ベッドをドアから遠ざけると机が窓側には置けなくなるとか、机を窓側に置くとベッドがドアにぶつかるとか、それじゃ、布団にすればと思っても、今度はドアを押し開いた時に布団がドアに挟まるとか・・・とにかく制約がある部屋となってしまった。
それを解消する唯一の方法は引き違いドアになるわけで、狭い部屋でも、それは非常に重宝する。それを十分に考えて、部屋の扉の形状は考えなければいけないことになる。
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では、なぜ押し開きドアがスタンダードになる傾向が多いのかというと、それは施工が簡単だからにほかならない。「いや、そりゃ素人さんの考えだ」と言われてそうだけれど、こういう話があった。
我が家のリフォームの時、台所とリビングの仕切りにドアを付けることになった。その時に大工さんのほうは押し開きのドアを考えていたが、設計士の方は引き違いドアを考えていた。当然、そこで意見の対立があった。偶然、私はその場に居合わせたので、興味津々に聴いていたのだけれど、
大工:「ドアのノブはどちらに付けます?」
設計士:「いやいや、ここのすき間にドアを入れたいんです。」
大工:「ここのすき間?」
設計士:「そうそう。このぐらいすき間があれば、十分に入ると思う。」
大工:「こんな狭いところだとどうなんだろう?」
設計士:「ドアの厚みが2㎝で、引き込みのすき間が5㎝弱だから十分入ると思う」
大工:「えっ、そりゃちょっと無理というか、ギリギリですよ」
設計士:「そんなことないと思う。ギリギリだけど、入るには入る」
そんなやり取りを聞いていて、素人の私は、この設計士さんは相当強引に話を進めていると感じた。確かにギリギリ。入らないことはないけど、ちょっと大変そう。既存の壁か柱があるわけだから、それをよけて入れるすき間があるのかどうか。素人目にもちょっと厳しいというか、手間がかかりそう。大工さんは、多分そこを言っているんだろうと感じた。しかし、設計士は「入るんだからやってほしい」と図面上そう思うとばかりに押し切っていた。ちなみに、設計士は女性であった。
結果、そこは引き違いドアで正解であり、私たちは、ドアの開け閉めの度に後ずさりすることもなく、またリビングからの目線も遮ることができるので大変に重宝した経験があった。
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我が家は今回、入り口のドアを含めすべて引き違いドアにした・・・といいたいところだけれど、1か所だけ、押し開きドアになってしまった。これは私どもが気がつかなかったから悪かったのかもしれないが、図面では確かにそうなっていて、設計士との話し合いでドアは引き違いでと申し上げたはずだったけれど、それが漏れてしまった。
「それは向こうの責任でしょう」という話にもなるけれど、押し開きドアを引き違いに変更することができる場所とできない場所があったり、ほかの部屋をやり直さなければならない等々の不都合が出てきてしまうので、ドアを考える際には、十分注意しておくべきところだと思う。
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