やっと帰ってきた(2) [生活]
2018.4.25
送迎バスが来るのが9時13分。現在時間8時55分。
もはやこれまで・・・・・・・・・と思った瞬間。
嫌だ嫌だと言って、力の限り抵抗し続けていたその力が心なしか弱くなった気がした。
口では「いやだ~~」と言いながらも力は弱く、運動着の上着は頭がとおり、腕がとおり、上着は無事着終えてしまった。
やった!あとはスカートと上着だけだ。
妙に確信というか、私の心に自信がみなぎってきた。
スカートを履く。ブレザーを着る。
(「履かせる」「着せる」というフレーズばかり考えていた私にとっては、不幸中の幸いであった)
彼女は依然として泣き続けている。泣き続けながらも観念したのか。体は素直だ。
ギュー~~~と彼女の体を抱きしめながら「イイコ、いい子、大丈夫、直ぐに終わるからね。」と、何が大丈夫なのか、訳のわからぬことを言いながら、ほかに泣きわめく3歳児を説き伏せるセリフなど思いつくはずもなく、こちらが泣きたくなるような、変な気持ちを醸成しつつも、やっとのこと玄関までたどり着いた。
さて、今日は雨降りだから長靴を、さっさと本人の気が変わらぬうちにとはやる気持ちを抑えつつ、慎重に慎重に事を進めた。
やっとのこと、玄関の外へ。しかし、彼女の心は大雨状態。
しかし、体は抵抗もなく、観念したのか、傘も自ら持ち、手をつないでバス停まで歩く、歩く・・・・・
。
ここでしゃがみ込んだらどうしよう。この大雨の中で道路に寝っころがられてしまったら、どうしよう・・・・・と考えつつ、彼女がただただ一歩ずつ歩いていくことのみを願っていた。
やっとバス停に到着。
しかし、バスはなかなか来ない。いつもだったら3~4分も待てば来てくれるのに、今日は全く来てくれない。
そして、この大雨。
雨足はより早く、太く、横殴りとなった。
彼女は、その雨音をかき消すほどに依然として大泣き状態。
頼むよ、気の変わらぬうちに、早くバスを来てちょうだい。
祈るような気持ちで延々と10分が過ぎて、ようやくバスが到着。
(たった10分だったけど、ズボンの裾はビショビショで、私にとっては長く、辛い時間であった。)
彼女は泣き疲れたようだったけれど、まだまだ大泣き状態。頑固と言えば、かなりの頑固者だ。
そんな頑固者も大人になれば、この老いぼれのことなど露程も思い出すことなどないのだろうと思いながら、彼女を幼稚園バスに送り込んだ。
私にとっては、淡く、苦い思い出となった一日であったが、それをつまみに笑顔で彼女と談笑できる日が来るのであろうか。
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