日野原さんが亡くなった [生活]
2017.7.20
日野原さんは聖路加のお医者さんだ。高齢で「生き方上手」を全うなさった方だと思う。
私はよくは存じ上げないが温和であり、厳しくもあっただろう。
高齢になると、とかく軽んじる傾向がある日本だが、彼は十二分に業績を残された方だ。
わずかではあるが、私は運良く仕事でご一緒をしたことがある。一緒といっても、先方は私の存在など知るよしもない。ただ、同じ空間、部屋にいたということだ。
10年前ぐらいであろうか。ある大学のシンポジウムに参加なされていた。何人かの先生のお一人に先生がいた。
議論は1時間ぐらいであったか、ほかの若い先生方はここぞとばかりにご発言をなさっていた。
日野原先生は、最初に少しお話になり、あとは聞き役に回っていたのか、特に進んでお話はされていなかった。
活発な若い先生の発言中、ふっと彼を見た。
寝ていた。
彼は明かに眠っていた。当時、既に95歳前後であったわけで、午後ということもあり、それは致し方のないことと思っていたが、私はドキドキ、別な意味で手に汗握る瞬間が来ないことを密かに願っていた。
しかし、それは容赦もなく訪れた。
司会者「日野原先生、今のご意見、どう思われます?」
その瞬間、信じられないことが起こった。
彼はシャキ~ンと目を開けた。
日野原「今のご意見、確かにそのとおりだと思います。しかながら、別の・・・・・」とその後、ツラツラと何の迷いもなく、またトンチンカンな答えでもなく、正確にご発言をなさったのは、目が点になってしまった。
この先生は、一体どういう方なんだろう。寝ていても聞いている・・・しかも95歳・・・答えは的を得ている。
すごい、95歳でこれだから、若いときはもっとすごかったんだろうとつくづく思った。
大往生だったと思います。苦しむことのない最期であったことを祈るのみです。
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