学生村(15)-コーヒーブレイク [学生村]
2017.5.8
学生村の生活は自然界の中にあり、清々しく、爽やかで、厚苦しい、蒸し風呂のような東京の生活とは全くかけ離れていて、盛夏でも運動をしない限り汗ばむこともなく、Tシャツ1枚で過ごせ、快適以外の何者でもなかった。
近くには今でいうところのコンビニ(小売店)はバス停で2つ下に行かないとないし、煙草もお菓子もお酒も、そこに行かないと買えない。煙草に至っては銘柄などは選べるわけもなく、いつ入荷されたかわからないような、東京でも滅多にお目にかかれないものが幾つかあった。お金もないことも手伝って、「ゴールデンバット」とか「ピース」の両切りとか、たしか「AAA(スリーA)?」、「わかば?」とかを買って、それも最後の最後まで吸い切っていたし、それでも捨てるところがあるからもったいないと言って、キセル持参で、それに差し込んで最後まで吸いきるのが当たり前であった。「ゴールデンバット」は30円だったと記憶している。
もちろん、喫茶店などもあるわけもなく、あったとしても、バス停で3つ上の〇×ヒュッテにしかなかったし、コーヒーを飲むためにバス停3つ乗ることはハードルが高く、地方のバス停1つは3キロ、4キロ先は当たり前だったから10キロ以上も先の話になる。
そんなセンセーショルな環境、コンビニもなければ、喫茶店も、マックも、スタバも、ココイチも、映画館もない環境で1カ月間を過ごすわけで、それを知らずに初めて長逗留をしようものなら、もう気が狂うほど愕然とするわけで、それを経験してきた2年目のベテランは、コーヒー、紅茶は東京が持ち込んできていた。もちろん、コーヒーはインスタントが通り相場であった。
そんな環境にいると、人間、何でもおいしく感じてくる。
皆、勉強に疲れてくる夕食後の就寝前になると、大体お誘いがくる。
それは飲み会でもあり、コーヒーブレイクでもあり、ほんの一握りの楽しみの一つとなった。主催者は、大体食材を多種少量を持っている2年目以降のベテランであった。
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