介護は「点」を「面」に変えなければいけないと思う [医療・介護]
2017.4.22
現在、介護事業者は被介護者の要請によって動いている。つまり、ご要望のあるお客様宅に伺うわけだが、その場所はてんでんばらばらだ。つまり、A町に行った後、B町に行って、C町に行き、そしてA町に戻るといった按配だ。
A町とB町は5キロ離れていて、B町とC町は6キロ離れている。そしてC町とA町は8キロ離れている。もちろん、もっと離れている場合もあるし、もっと近くの場合もある。つまり「面」で動いているのではなく、「点」で動いている点に大きな問題がある。
もう一つ問題がある。介護ヘルパーが被介護者宅(A、B、C)を訪問するわけだが、その移動時間は全く給与には反映されていない現実があるということ。つまり、A、B、Cの経由に5時間拘束されたとしても、ヘルパーにはA、B、Cの3人の介護分しか給与は払われない。移動時間は全く加味されていないということ。今、辛うじてヘルパー人員は足りているが、こんな不利益的な扱いが続けば、あと4~5年の経過とともに顕著になる被介護者の増大、それに反してのヘルパーらの減少が続き、現場はパンク状態になってしまう可能性が高い。今でも、介護事業所の撤退、辞退、遅延が相次いでおり、介護所としては綱渡りの様相を呈していることは確かだ。
つまり、介護現場の「点」での活動を「面」での活動に変更することにより、無駄な移動時間をなくし、被介護者とヘルパー両者の負担軽減を図ることが一番の課題ではないだろうか。
被介護者の負担軽減とは、被介護までの待機時間を減らすこと、介護単価の高騰を抑えること、最低訪問回数の制限をなくすことなどがあり、ヘルパーの負担軽減とは、移動時間の労働時間算入である。もちろん、介護事業所における内部留保の軽減、ヘルパーの処遇改善を検討することも大事な改善項目だと思う。
現在、介護事業所はすべて「点」での行動であり、「面」での行動を模索しているところはない。「多業種連携」という言葉をよく介護現場では使っているが、これが「産学官連携」のように、言葉倒れに終わらないことを切に希望したい。
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