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母の話(14) [母のこと]

2017.2.4

最終コーナーを回った気がした。

母は嚥下はよかった。むせることもなく、食べ物はスムーズに飲み込んでいた。ところが今日の朝、いつものとおり、口を洗い、口をすすいでもらった。ところが、その水を口から出さない。出せないのか、出さないのか。以前にも、そのようなことは度々あったが、さほど気にすることもなく、吐き出していた。しかし、今日は20分ぐらいだろうか、母は口に入れたまま、うがいの水を口に含んだまま時間が過ぎていった。

やっとのこと。口から出したものの、いざ朝食を食べようとしたら、何やらまだ口に入っている様子。唾液をまだ口に貯めているようで、大好きなチョコレートも口にしない。彼女はもともと何度も何度も口の中をきれいさっぱり出さないと気が済まないタチであった。つまり、1回だけ口から出しても、まだ口に残っている状態なのだ。

残っているそのことに気がつかないまま、食物を口に入れようものなら、彼女は口はいっぱいになってしまって、当然むせてしまうことになった。

それを朝と夜に繰り返した。ポカリスエットは何とかスムーズに飲んだのだけれど、ほかの食物は結局のところ、彼女の胃には行かずに口の中でグルグルと対流していたことになる。

そして、最終的に、むせて誤飲となってしまった。耳元で、そのことをやさしく説明しても、「ウンウン」と理解したと返答はするのだけれど、体(喉が、口が)動かないのかもしれない。飲み込みがいいからダイジョウブだと思っていたが、そうではなさそうだ。彼女自身の体の寿命というものかもしれない。飲み込むという動作を忘れてしまったのかもしれない

ついに最終コーナーを回りつつあるような気がしてきた。口からが駄目になったら、あとは点滴しかない。点滴はただの食塩水だ。気休めに過ぎないことは事実だ。

水だけの摂取30キロの体重で、あと何カ月もつのだろうか。


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