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忘れられた俺の名前 [医療・介護]

ついに俺の名前を忘れたらしい。

「いつも来て食事をつくっていく男の人は誰?」と言っていたと聞かされた。
この8年間、父親が他界してからずっと朝と夕に食事の世話していた。
「大変ね」「偉いね」「きっといいことがあるわよ」なんて言われていたが、余裕があるうちはよかったけれども、だんだんと余裕がなくなってくると、そんな言葉も厭味に聞こえてくる。介護はきれいごとではないとつくづく思う。これも宿命。生みの親の母親だから世話をすることはできるのだ。

いつものことだが、ズボンを上げずにトイレから出てきた。「ズボンを上げて」。


「・・・・。」

「何で上げてこないの、みっともない。」


「・・・・。手に力が入らないから上げられないんだから仕方ない。」


これを生業としている人は、つくづく偉いと思う。逆説なことを言えば、若い人には持続可能性のない職業かもしれない。

介護施設で投げ落とした事件があったが、真面目な顔をしてインタビューに答え、真面目なこと質問している画像を見るにつけ、厳しい現実があることに驚愕する。母親が施設に入ったら、そのターゲットには絶好かもしれない。それを予感するので、施設には入れられない。

彼らが相対するスペードのエース、絶対に勝てない敵だ。

きっと本人はそれに気がついていないのだろう。それが若さというものだ。

今日もどこかで高齢者虐待は繰り返されている。

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